ぱぱこれたー#1|死にたいと思っている君へ。パパが教える「生きること」について

1. はじめに:今の君へ、パパからの挨拶

いま、この手紙を読んでいるということは、君はとても苦しい場所にいるのかもしれないね。 世界から色が消えて、呼吸をするのさえ苦しくて、「もう終わりにしたい」と思っているかもしれない。

パパは、君に「頑張れ」なんて言いたくてこれを書いているんじゃないんだ。 ただ、パパもかつて、君と同じ場所に何度も立っていたことがある。その時のパパが、未来の君にどうしても伝えておきたかったことを書くね。

2. パパの生々しい体験談:白黒の世界にいた頃

パパの人生は、ずっと順風満帆だったわけじゃない。 小学生の頃はいじめられ、家にも居場所がなかった。毎日がただただ苦しくて、「死ぬ勇気がないから、仕方なく生きている」という、薄氷を踏むような毎日だったんだ。

そんな当時、あるテレビCMがパパの心の支えになっていた。 『屋上の少女』という物語だ。屋上で本を読んでいる少女は、どの物語も「幸せになる直前の、一番苦しいところ」で読むのをやめてしまう。そして、自ら命を絶とうとするんだ。 でも、その物語には、苦しい場面のあとに必ずハッピーエンドが待っている。

パパはずっとこの話を信じていた。「苦しいのは今だけだ。きっと将来は幸せになるはずだ」って。

大学生の時、SNSで出会った「姉」のような大切な人がいた。 同じ境遇の彼女だけがパパの理解者だった。お互いに支え合い、時には傷つけ合いながら、不器用ながらも必死に人生を模索していたんだ。

でも、彼女は自ら命を絶ってしまった。人生に耐えられなかったんだ。未来が見えなかったんだ。

家族だけの式に参列させてもらい、一生分の涙を流したよ。失う辛さに耐えきれず、当時の人間関係をほとんど切ってしまった。 そこからパパの毎日は、完全に色が消えて白黒になった。 追い打ちをかけるように、就職したブラック企業で心も体もボロボロになり、電車の中で意識を失って倒れたこともある。

「生きる理由」なんて、どこを探しても見つからなかった。

3. その体験から導き出した「パパの答え」:死ななくてよかった理由

そんなパパが、なぜ今、君の父親としてここにいるのか。 それは、立派な理由があったからじゃない。ただ「今日をやり過ごした」のを積み重ねただけなんだ。

あんなに色がなかった世界も、3年、5年、10年と時間が経つうちに、少しずつ色が戻ってきた。 悲しさが薄らぐことはない。今でも思い出すと胸が張り裂けそうになる。 でも、ママと出会い、そして君が誕生して、パパの中の「幸せ」が大きく膨れ上がった。

そしたら、どうだろう。 耐え難い悲しみだったはずなのに、幸せの大きさによって、その悲しみに耐えることができてしまっているんだ。

生きる理由は、見つけるものじゃなくて、後から勝手に付いてくるものだった。 あの時、死ぬ勇気がなくて生き延びたパパがいたから、今、パパは君という宝物に出会えた。

いじめられていたあの日から、約30年。 長かったけれど、パパもあのCMの少女やシンデレラたちと同じように、幸せになることができた。それは、ママと君のおかげだよ。

「生きてさえいれば、いつか必ず色のある景色が見える日が来る」 これは、パパが自分の命をかけて証明できる、唯一の事実なんだ。

4. 君に伝えたい「これからの歩き方」:逃げて、休んで、ただ居て。

もし、君が今「死にたい」ほど辛いなら、パパからのお願いがある。

① 全力で「戦略的撤退」をしていい

学校も、仕事も、人間関係も、君の命より価値のあるものなんてこの世に一つもない。 ロールプレイングゲーム(RPG)を思い出してほしい。うっかり先を急ぎすぎて、敵が強すぎたとき、死ぬと悟った瞬間に君ならどうする? 迷わず「逃げる」を選択するだろう?

いま、君は分かりやすく「逃げるべき瞬間」を迎えているだけなんだ。 苦しいかもしれないけれど、今の君には、その苦しみに正面から打ち勝つことはできない。一度引いて、もっとレベルを上げて、仲間を増やしてから立ち向かえばいいんだ。

② 大いに休んで、自分を回復させていい

逃げたあとは、しっかり休んでほしい。 勝てないと悟って逃げたとしても、負った傷は深いはずだ。まずは回復に努めよう。 自分が元気でないと、何に手を伸ばしてもうまくいかない。

「周りに取り残されるんじゃないか」と不安になるかもしれない。でも大丈夫。人生は100年もあるんだ。 ボロボロの体で、ずっと「毒状態」のまま進むほうが、今後の人生はずっと苦しくなってしまう。

③ 「何もしない」は、100点満点の仕事

前に進もうとしなくていい。ただ呼吸をして、今日をやり過ごす。それだけで、君は今日という日の100点満点の仕事を成し遂げている。

それでも、もし「世界から取り残されてしまう」という不安に押しつぶされそうになったら、パパの言葉を思い出して。君が今できることだけでいいんだ。 たとえば、少しだけ外を歩いて風を感じてみたり、物語の中に潜り込むように読書をしてみたり。そんな小さなことで、ぐちゃぐちゃになった気持ちが少しだけ整理されることもある。 それは「進む」ためじゃなく、君が「君自身を取り戻す」ための大切な時間なんだ。

パパは当時、これができなかった。頼れる人もいなくて、冷静じゃなかったんだ。 君がもし、頼れる人がいないと感じるなら、いつでもパパとママのところにおいで。僕たちはいつだって君の味方だ。

さぁ、まずはその強敵から「戦略的撤退」をし、傷ついた心身を回復して、それから今後どうしていくか考えようか。

5. おわりに:愛を込めて

君が生きていてくれる。 パパにとっては、それだけで十分すぎるほどの親孝行なんだ。

君が真面目で優しいからこそ、この苦しみはもしかしたらパパと同じように、ずっと残り続けるかもしれない。パパもふとした瞬間に、あの白黒の世界にタイムスリップしてしまうことがある。

でも、それでいいんだ。その悲しみを抱えたままでも、それ以上の幸せを積み上げていくことはできるから。

世界がどんなに暗く見えても、パパだけは君の光の方角を指さし続けたい。 ゆっくりでいい。また一緒に、色のある世界を歩こう。

愛しているよ。

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