こんにちは、Яeiです。
今回は早稲田大学大学院(数学)を修了した私が、積分のイメージについて解説していきたいと思います。
恐らく高校2年生で習うであろう積分。
微分で既に数々の生徒を数学の道から振るい落とした上で、ラスボスのような立ち位置でさらに多くの生徒を数学界から追いやる積分。
そんな積分について、誰でも分かるイメージレベルで解説していきます。
なお、ここではイメージを優先しているため厳密性は捨てておりますのでご認識下さい。
目次
積分のイメージ
結論(積分は「面積」)
- 積分のイメージは「面積」です。
これだけ分かっていればもう大丈夫です。
「え?何言ってるのこの人」と思われるかもしれませんが、本当にこのイメージだけで「積分」という分野はOKです。
微分とは異なり、「積分は面積を求めている」という意識がある人は結構多いような印象です。
ここでは、より一層積分のイメージが鮮明になると思いますので最後まで見ていって下さい。
それでは説明していきたいと思います。
いろいろな図形の面積
面積の求め方は簡単なものについては基本的に小学生の時に習います。
難しいことはありません。例えば、長方形の面積は
$$(長方形の面積)=(底辺)×(高さ)$$
となります。
これはほとんどの人が覚えているのではないでしょうか。では三角形の面積は覚えてますか?
$$(三角形の面積)=(底辺)×(高さ)×\frac{1}{2}$$
となります。
せっかくなのでついでに台形の面積も復習してみましょう。
$$(台形の面積)=\{(上底)+(下底)\}×(高さ)×\frac{1}{2}$$
こちらに関しては覚える必要は特にないので、分からなかった人は「そういえばそんな話もあったかな」程度で構いません。
では、次のような図形の面積はどうなると思いますか?
恐らく、ほとんどの人がお手上げ状態なのではないでしょうか。
こういった変な図形の面積を求めるための解決作として「積分」の考え方があるのです(若干語弊がありますので厳密に学ばれたい方は積分学を学んでみて下さい)。
積分の発想
さて、それでは積分の発想をみてみましょう。
先ほどの図形を例に考えていきますが、積分の発想は「長方形の面積の求め方は知っているので活用できないか」ということです。
例えば、以下のように長方形で覆ってあげるとします。
すると、長方形の面積は求められるので、何となくハートの面積に近い面積は求められると思います。
しかし、図にすると次のように黄色部分が余計な面積になっております。
もう少しハート型の面積に近づける努力をしていきたいと思います。そこで、以下のように長方形を細分化してみましょう。
すると、細かい長方形のうち明らかに求めたい面積から外れているものが出てきます(灰色部分はハートの面積とは無関係です)。
それはハート型の面積として考えなくてよいので細かい長方形の和を考えると、先ほどよりはハートの面積に近づきました。
ここでポイントとなるのは「細かい長方形(正方形)の和」で考えていくということです。
なぜならば、長方形の面積の求め方はすでに知っているからです(底辺×高さ)。
さて、さらにもっと細かくしていきましょう。
我ながら、手動にしてはかなり頑張ったと思います。こちらの面積はというと以下のような形になります。
(肉眼では見えませんが、細かい長方形の集まりとなっております)
頑張った甲斐があって、かなりハート型の面積に近づいてきました。
これをさらにさらに細分化していくと「これもはやハートの面積じゃね?」というくらいになります。
これが積分の発想になるのです。
積分を考える
それでは高校で習う積分とマッピングしていきましょう。
ただし、さすがに高校で習うことを当記事で説明しようとすると難しくなってきますので厳密性の部分はより一層そぎ落としてイメージ重視で説明させて頂きます。
細かい部分を込みで考えると、さすがはラスボスといった難易度ですね。
まず次のようなグラフの$x=a$と$x=b$の間の面積を考えてみましょう(黄色部分の面積)。
(若干塗りつぶしが雑なのはお許し下さい)
この面積については先ほどのハート型の面積同様に、今までの知識では面積は求められそうにないので「分割して長方形の和」で考えていきます。
こちらも少し雑で申し訳ありませんが、ざっくりと長方形の和で表してみました。
ここで、一つ一つの長方形の底辺を目視できるようにあえて長めにしておりますが、これを相当頑張って短くすれば長方形の和はもはや求めたい面積と一致します。
基本的には先ほどの考え方と同じですね。
そして、このような求め方を「区分求積法」と呼びます。
「$x=a$と$x=b$の間の区分の面積を求める方法」なので「区分求積法」という言葉通りの名前ですね。
区分求積法については実際はもう少し話が小難しくはなるのですが、イメージはこの通りです。
積分については「定積分」と「不定積分」がありまして、今回見てきたのは「区間」が決まっている「定積分」の方となります。
不定積分はまた少しややこしくなるのでまた次回以降で解説していこうと思います。
積分ができると嬉しいこと
ところで「積分で面積を求めて何が嬉しいの?」という疑問もあるかと思います。
微分と同じく解析するのに嬉しかったりもするのですが、ここでは少しだけ馴染み深い例を挙げてみようと思います。
ここまでの話で結構疲れたと思いますので少しさらっと説明致します。
例えば先ほどのグラフですが、これが時間に伴うウイルス感染者数のグラフだったとしたらどうでしょうか。
x軸が日にち、y軸が感染者数(人)とします。
すると面積を求めると、その期間での合計感染者数が求まります。
数式がもっと複雑になってくるとグラフ化するのも難しくなってくることがあります。
そういった場合でも、微分が出来ればある地点において将来どうなっていくか予想が出来ますし、積分ができれば、今までの合計を求めることができます。
そして、ここら辺の解析はPCがあればより一層解析が早くできるのです。
このように、実例ベースで見るとピンとくると思いますが、学校では実例は意識しないので結局「何やっているのか」が分からないまま数学って何の役に立つのか分からずに終わってしまうのです。
当記事は以上となります。
今回は前回の微分の話以上にざっくりとしたイメージベースでの説明となりました。
「積分は面積を求めている」というイメージは最低限持ってもらいたいですが、積分はさらに奥の深い分野となります。
先ほども話しましたが「定積分」「不定積分」はもちろん、「リーマン積分」や「ルベーグ積分」など積分の種類もあります。
もしも「案外面白そうだ」と思われた方は勉強してみてはいかがでしょうか。
長々とお疲れさまでした!